(2) 粋な組み合わせ【ニコンF+サンパントリオ】

ニコンFとサンパントリオ(左から、Micro Auto 55mm F3.5、Auto 135mm F3.5C、Auto 28mm F3.5C)

まずカメラから

 35mmフィルムカメラはニコマート、FM2、F3といろいろと使用してきましたが、このFを最後に購入しました。いわずと知れたニコンが世界に誇った名機、一眼レフの開祖で1959年発売であり、現在すでに60年以上が経過しています。何というカメラでしょう、まだ十分に現役です! Fはその後F2、F3、F4、F5と進化し、F6が最終のフィルム一眼レフカメラとなりました。

 この初代Fを私としましては現在所有するフィルムカメラの中では最後に購入(もちろん中古です)しました。実際に使用してみると、そのダイレクト感は他に代えがたいものがあることがすぐにわかりました。このサイトでの隅田川と京浜運河シリーズでは中心的に使用しました。

次にレンズです

 F3.5の明るさ(暗さと言った方がいいような)のレンズのことを「サンパン」と言うのだそうです。東京西大井にあるメンテナンスをお願いしている修理屋さんへ通っているうちに知りました。300mmF2.8の明るい望遠レンズことを「サンニッパ」と言いますが、これと同じノリですね(同じというよりサンパンの方がはるかに古い)。

 このサンパンなのですが、明るいレンズ(F1.4やF2など)が比較的安価に購入できるようになった現在では見向きもされない存在となりました。単焦点でF3.5なんて存在意義がありません。しかもレンズの設計が古いので解像力もそれほど期待できません。しかし、使い始めてみると意外と魅力的なのです。

 サンパンの魅力はその軽量と重量バランスにあります。レンズの口径が小さいので重心がマウント側(カメラボディ側)にあり、カメラに装着して構えた際のバランスが絶妙です。特に55mmF3.5の標準マクロレンズが顕著です。レンズ本来の性能(解像力・カラー再現性・逆光耐性など)については最新の設計のレンズがいいのは当然なのですが、ここのトリオのように古いレンズでも、工夫すればスキャナー読み取り後の画像解析の段階でかなりなところまで挽回できます。

組み合わせて使う

 このニコンFとサンパントリオを組み合わせて使います。カメラ側は露出計もなくフィルムも手巻き、レンズ側はオートフォーカスもなく手動ピント合わせ。便利機能は何もなく、すべて基本に立ち返った純粋なマニュアル操作。何とも粋ではありませんか! 昔ならば、この不便さ故に余程習熟していなければ不出来な写真を量産するところですが、今は撮影の失敗をデジタル化後のソフトウェアによる画像解析でかなりなところまで挽回できる。不出来な写真を量産しません。それどころか、余計なことに気を回さなくてすむので、被写体に集中できる・・・という利点があるのです。

実際の撮影スタイル

 実際の撮影スタイルを見てください。以下の写真のようにして使用しています。ボトムグリップとソフトシャッタレリーズを装着しています。ソフトシャッタレリーズは学生時代から使用しているもので購入してから45年以上経過しています。ボトムグリップは、Fの裏蓋が外れやすいので安心材料として使いはじめたものです。こうすると、機動性が格段に良くなります。

2023年8月 記