撮影からプリントまで
以前、私の友人とカメラ談義をしていた際に、私は撮影したフィルムをスキャナでデジタルデータにした上でパソコンとプリンタで写真を作っている、と話をしたら、その友人は、なぜそんなややこしいことをするのか、フィルム愛好家ならばそれらしくフィルムから直接引き伸ばし機でプリントをつくるべきじゃないか、と主張しました。意外な言葉に少し驚きましたが、でもこれが普通の人の感覚なのかもしれないな、とも思いました。
私はフィルムが好きで、ごく最近までは作品作りにずっとフィルムカメラだけを使い続けてきました。それでも、仕事上では比較的初期の頃からデジタルデータに馴染んでいたのでデジタルアレルギーみたいなものはありませんでした。自然に、撮影済みのフィルム→現像→スキャニング→デジタルデータ→プリンタによるプリントアウト、という流れを抵抗なく受け入れてきました。また、最近取り組み始めたテーマではデジタルカメラの方が都合がよいので、これも躊躇なく使い始めています。
前置きが長くなりましたが、写真を作る方法に決まりはありません。十人十色です。そのため、このストアで私の作品を購入して下さる方々のために、私の作品作りの流れを公開させて頂くことにしました。もちろん購入者以外の方々にも、ご参考になればと考えています。
以下に、フィルムカメラの場合とデジタルカメラの場合の撮影からプリントまでの流れを記載しました。ご覧の様に、画像解析以降は同じ流れになります。
フィルムカメラの場合
フィルムカメラによる撮影
フィルムカメラにフィルムを装填して撮影します。デジタルに比べて、感度が限定されていますので、光の少ない場所の撮影時には配慮が必要です。
私の場合マニュアル露出で撮影しますが、事前にフィルムの種類、レンズの絞り値、シャッター速度を決めて撮影に入りますので、現場での迷いはほとんど無く被写体に集中できています。

フィルム現像
現時点では、撮影済みフィルムの現像はすべてプロラボさんにお願いしています。自家現像にすると、廃液処理の面で対応が難しいところがありこのようにしています。それでも、増感現像の注文も受け付けているところが何か所かあり、それほど不便を感じていません。

スキャナによるデジタル化
自宅にあるフィルムスキャナで、自分でデジタル化しています。スキャナはフラットベッドタイプのもので EPSON GT-X970 を使用しています。
このタイプのものにピント精度を不安視する意見もありますが、使ってみると使用レンズの被写界深度が大変深く、ピント精度に不安を感じたことはありません。もう、10年以上使い続けていますが、安定して稼働し続けています。

デジタルカメラの場合
デジタルカメラによる撮影
デジタルカメラで撮影します。感度設定の自由度が高いので、現地に入ってその場所の明るさに応じて撮影できる便利さがあります。
しかし反面、被写体を前にして考える時間が入ってしまい、これは考え物ですね。
私の場合、デジタルでも事前に設定した内容を、現場でよほどのことがない限り変更しません。被写体に集中することが一番大切だと思います。





画像解析
解析ソフトで画像解析を行います。私の場合、Photoshop CS5 を使用しています。主な内容は以下の通りです。
トリミング、ひずみ補正、ノイズ除去、カラー画像のモノクロ化、トーン調整
ここで、トーン調整についてはいろいろな使い道があります。
この画像解析については、この一連の撮影からプリントまでのプロセスの中で最も重要と考えています(もちろん撮影が最重要ですけどね)。フィルムかデジタルかという差よりも、画像解析をするかしないかの方が写真の出来栄えへの影響が大きいと思っています。
この画像解析については、いずれ、一つのコーナーを設けて、いろいろな使い道をご紹介する予定です。


プリンタによる出力
パソコン上で解析ソフトを使ってプリンタで写真プリントを作成します。現在、プリンタはキャノンG1プリンタを、用紙はプラチナグレードを使用しています。これで、A3ノビサイズまで出力が可能です。
私は、長い間染料インクのプリンタを使用していましたが、モノクロ写真の黒が黒で出てこなくて、いろいろな試行錯誤の連続で大変な苦労をしました。
ところが一旦顔料インクを使用するG1プリンタを導入すると、一発でモノクロ写真の黒が黒で出てくる。これには感激しましたね。現在、モノクロ写真が中心ですので、G1プリンタを使い続けるつもりでいます。
2025年9月 記